「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分を掲載中

※ なお、記事の内容は執筆時点のものです。現在の医学的見地とは異なる場合がありますことを
 ご了承ください。

〜コロナ禍こそロコモ対策〜

外来に「以前より歩ける距離が短くなった」と訴える患者さんが来られました。話をうかがうと、コロナ禍により、この1年以上は極力外出を自粛し、巣ごもり生活を送っていたとのことでした。

エックス線や磁気共鳴画像(MRI)などの検査をして調べましたが、これといって原因となる病気やけがなどは見当たりませんでした。

このように病気や外傷の有無に関わらず、移動する能力が低下した状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)といいます。この患者さんは体幹下肢に筋力の低下がみられ、リハビリを開始しました。

年齢とともに運動器は衰えていくものですが、変形性関節症や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)・関節リウマチなどの病気でも移動能力が低下し、ロコモは起こります。 このような病気が原因の場合は治療が必要となってきます。

ロコモを放置してしまうと、将来介護が必要となるリスクが高くなります。歩行距離が短くなった、というような自覚症状がなくても、すでにロコモになっていたり、症状が進行している場合があることも分かっています。

健康寿命とは健康で日常生活を送れる期間をいいます。コロナ禍の今こそ、しっかりとしたロコモ対策を講じて、健康寿命を伸ばしましょう。心配な方は、最寄りの整形外科へ受診をお勧めします。
  
整形外科 医長 近藤 毅