「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

皮膚がかゆい・・・「乾燥肌か」 

(2008年1月26日(土) 北國新聞(丈夫がいいね)に掲載分)

金沢市の男性は(70)は今月初旬ごろから、膝下がカサカサして乾燥し、かゆみが止まらなくなった。特に入浴後や布団に入った時がひどい。
金沢市の金沢有松病院皮膚科を受診した時には、膝下に小さい「ひっかき傷」が無数にできていた。
男性は正月に酒を飲み過ぎ、持病の肝臓病が悪化したのかもしれないと思った。
肝臓が悪くなると、皮膚がかゆくなると聞いていたからだ。が血液検査で異常はみつからず、ほっとしたのもつかの間、竹田公英医長から意外な質問をぶつけられた。「お風呂で体を洗う時、ゴシゴシこすってはいませんか」

■角質はがれる
竹田医長によると、皮膚の外側には「角質層」と呼ばれる外壁があり、水分を保つ役割を果たす。加えて、皮脂腺から出る脂分が角質層の表面を覆い、水分が蒸発しないようになっている。だが、五十代を過ぎると角質層の水分も脂分も減ってきて、乾燥しやすくなり、かゆみを生じるのである。
加齢によるこんな疾患を「皮脂欠乏性湿疹」と呼ぶ。
「高齢でただでさえ、肌が乾燥しがちなのに、入浴時にナイロンタオルなどで体をゴシゴシ洗うと、大事な皮脂や角質がはげ落ちてしまう。その結果、かゆみが強くなってしまうのです」
竹田医長の言葉に、男性は思い当たる節があった。もともと体はゴシゴシ洗わないと気が済まないタイプだ。
しかも最近、硬いナイロンタオルを新調したばかり。洗う時に力を入れる膝下が特にかゆくなる理由が分かった。
竹田医長によると、かゆいからといって患部をかき続けると、さらに症状が悪化し、かゆみが強くなる悪循環に陥る。
入浴後や布団に入った時にかゆいのは、体が温まって血行がよくなり、神経が過敏になって小さな刺激でもかゆみを感じるからだという。

■体は泡で洗う
竹田医長は男性に、保湿剤と炎症を抑えるステロイド剤を混合した塗り薬を処方した。布団の中でもかゆみに悩まされないように、抗アレルギー剤も出した。
さらに男性は、竹田医長の指示に従い、風呂でナイロンタオルを使わず、石けんを泡立て、その泡を体全体に伸ばすだけの洗い方に変えた。すると十日ほどで薬を飲まなくても、かゆみを感じなくなった。
「泡だけで体の汚れは十分落ちる。高齢者のゴシゴシ洗いは禁物です」と竹田医長は話す。
戸外の冷気と室内の暖房で、肌が乾燥しがちな冬。この忠告は、ぜひとも覚えておきたい。