「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

フケが多い・・・「脂性か」

(2008年1月27日(日) 北國新聞(丈夫がいいね)に掲載分)

頭皮の細胞は一定の周期で生まれ変わる。
古くなった細胞は、頭からはがれ落ち、フケになる。誰にでも発生し、何日も洗髪しないと目立つようになるが、中には毎日一生懸命シャンプーをしているにもかかわらず、多発する人もいる。

■スーツの肩に
金沢市内のIT企業に勤める40歳代男性もフケに悩まされていた一人である。
毎晩シャンプーしても、朝起きると必ず枕に白いものが落ちている。濃い色のスーツを着ると肩にフケが雪のように降り積もっているのが目立ち、いつも手で払っていた。フケを抑えるため、シャンプーをいろいろと変え、丁寧に洗うことを心掛けていた。だが一向によくならない。「皮膚病なんじゃない?」。妻に言われ、金沢市の金沢有松病院皮膚科を受診した。
竹田公英医長が調べた結果、男性は「脂漏性皮膚炎」と診断された。フケの悩みで訪れる患者は、この病気であることが多いという。フケの多発に加え、まゆ毛のまわりや小鼻の横、口元の線などに炎症が起こり、その上に白いかさぶたのようなものができることもある。大量のフケをもたらすこの病気の原因は何なのか。竹田医長は、「頭皮の真菌、つまりカビの影響が考えられます」と説明する。カビと聞くと不潔なイメージが思い浮かぶ。しかし、実は誰でも頭皮にはカビが存在する。脂漏性皮膚炎は、頭皮の脂分(皮脂)を栄養源に増殖したカビが、頭皮を刺激し、頭皮の新陳代謝を促すと考えれている。頭皮の生まれ変わる周期が早まるために、フケが発生する量が総じて多くなるのだ。もっとも、フケの原因はカビだけとは言い切れず、詳しくは解明されていないのが実情という。

■ストレスも一因
治療は増殖した頭皮のカビを退治することから始まる。男性はローションタイプの抗菌剤を処方され、夜のシャンプー後に頭に振りかけている。
竹田医長からは日常生活の見直しも言い渡された。過度なストレスや睡眠不足、脂っこい食事や野菜不足もフケ症の増悪因子になるからだ。
フケを引き起こす病気には一般的に、脂漏性皮膚炎のほか、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬がある。さらには、エイズウイルス(HIV)感染の初発症状としても出現するという。ウイルスによる免疫力低下で頭皮のカビが増殖するためとみられている。
フケは人に相談しにくい悩みの一つである。それでも、竹田医長は「症状がひどい場合は一人で悩まず、早めに専門医を受診してほしい」と助言する。正しい診断こそが、症状改善の近道なのである。