「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

木綿とゴム手袋を二重に 

(2008年2月28日(木) 北國新聞(丈夫がいいね)に掲載分)

家事をこなす主婦らがかかりやすい皮膚病の一つに、進行性指掌角皮症がある。主婦手湿疹との名称もあり、手の乾燥やひび割れなどを起こすのが特徴である。

■冬に多い
手の表面は通常、皮脂膜で保護されている。しかし、料理や洗濯など水仕事を繰り返していると、この脂皮膜が壊れ、外部の刺激に直接さられれる結果、手荒れを起こす。
「結婚や出産を機に発症する女性が多いですね」と話すのは金沢市の金沢有松病院皮膚科の竹田公英医長である。
家事でお湯を使う冬場は特に患者が増えるという。お湯で皮膚の脂分が洗い流されて乾燥するためだ。
もっとも、この病気は家庭の主婦に限らず、美容師や料理人、紙幣をさわる銀行員など男性にも起こる。
近年は、パソコンのキーボードの使いすぎによって発症する事例もある。悪化すると指紋がなくなって指先がツルツルになる人もいるのである。
「手がガサガサで、ストッキングを履こうとすると破れてしまうんです」
今年1月、竹田医長を訪ねた女性(45)はこう訴えた。仕事しながら家事に追われる女性の手は乾燥して硬くなり、ひび割れは手のひら全体に広がっていた。
市販のハンドクリームを使っていたものの、改善しないため受診したという。
「市販の塗り薬は初期のうちは効きますが、症状が進んだ場合はこっちの方がいいですね」と竹田医長が取り出したのは、ステロイド剤と保湿剤。ステロイド剤は炎症を抑える作用がある半面、使いすぎると表皮が薄くなるため、炎症が治まったら早めに保湿剤に切り替える必要がある。

■たまには交代

症状の改善には日常生活での工夫も欠かせない。早く治すには水仕事を避けるのが一番とはいえ、主婦にはなかなか難しい。
そこで竹田医長が勧めるのは、水仕事の際、木綿の手袋をしてその上からゴム手袋をつけることだ。ゴム手袋だけではかぶれたり、症状を悪化させることもあるため、肌を刺激しない綿の手袋を重ねた方がいいという。
主婦手発疹はいったん治れば再発しにくいので、根気強く取り組みたい。そして改善には男性の手助けも時には必要だ。「たまには家事を交代してあげる心遣いがあってもいい」と竹田医長。
夫のいたわりが一番の特効薬なのかもしれない。