「健康トピックス」

北國新聞 ”健康ノート”、”丈夫がいいね”、”健康よもやま話”
金沢有松病院分掲載中

〜強度が低下しつぶれる〜


 筋力低下と共に、年を重ねて気を付けたいのが骨粗鬆症である。骨がスカスカになると、日常のささいなことがきっかけで骨折してしまう。
 ある冬の朝、金沢市の70代後半の女性は自宅でベッドからずり落ち、尻もちをついた拍子に背中に激痛が走った。娘に支えられて金沢有松病院(金沢市)に駆け込んだところ、検査で第1腰椎の圧迫骨折と診断された。
 腰椎とは腰の部分にある背骨で、上半身から骨盤につながる五つの骨で構成される。MRI画像では、女性の一番上の腰椎がつぶれ、出血していた。尻もちによって上半身の体重が腰椎にかかり、受け止めきれずに押しつぶされてしまっていたのだ。
 「骨がボキッと折れるだけが骨折ではない。骨の強度が低下し、骨がつぶれてしまう骨折は、骨粗鬆症の方に多い」と同病院整形外科の近藤毅医長は指摘する。

■いつの間にか
 加齢によって腸からのカルシウムの吸収が悪くなるほか、特に女性の場合は、閉経して女性ホルモンの分泌が低下することで、急激に骨密度が下がってしまう。
 骨がスカスカになると、ベッドから落ちるどころか、会釈をしたり、せきやくしゃみをしたりするだけで骨が折れることもあるという。痛みで骨折に気付くこともあれば、気付かぬうちに骨がつぶれ、背中が丸くなっていることもあることから、最近では「いつの間にか骨折」との呼び名で、注意喚起されている。
 女性は幸い、骨折片が神経には影響せず、手術は必要なかった。コルセットを付けて腰への負担を和らげながらリハビリを始めたが、元通りの筋力が取り戻せるまでは、半年ほどかかるという。
 骨粗鬆症の予防には、バランスのよい食事と適度な運動に加え、日光浴を心掛けたい。家に閉じこもりがちになる北陸の冬は、骨にとっても良くないのである。

■曇天でも十分
 いくら骨のためにとカルシウムを多く取っても、吸収するには、ビタミンDが欠かせない。ビタミンDは食物中に含まれるだけでなく、外に出て紫外線を浴びることによって、体内でつくられる。
 「北陸の冬に多い曇天でも紫外線は十分に出ている。15分ほど出歩くだけで、顔や手から紫外線が取り込まれ、運動にもなる。薬に頼るより、生活を改善することが大切です」と近藤医長は話す。
 運動は、骨を支える腹筋や背筋を中心に、図のような体操に毎日少しずつでも取り組みたい。骨に負荷を掛けることで、骨が強くなる効果も期待できる。骨量が低下している人は、医師と相談しながら、無理せず取り組もう。