診療科のご案内(脳神経外科のご案内)


当科は、外来診療のみとして診療を行っています。
対象疾患は、頭部外傷、脳血管障害、脳腫瘍など多岐に渡ります。
週2回、専門外来として診察を行っています。
なお、当科受診の際は、事前の予約が必要となりますので、診察をご希望の際は、当院、外来看護師までお気軽にお問い合わせ下さい。

 

トピックス

最近何となく小児の頭部外傷の患者さんが増えております。そこで、今回小児の頭部外傷について、少しお話ししたいと思います。
まず大人との体型の違いによる特徴は、頭部の大きさが他の部分と比較して大きいため、ちょっと転倒しただけで頭を直撃する可能性が高いことです。
また、運動神経や反射神経が未発達であり、手などでの防御も不十分で、傷がなくても本人が話さなくても打撲している可能性があり注意を要します。
解剖学的特徴として以下のことが指摘されます。

1.頭蓋骨とその上の腱膜や頭皮の結合が粗であり、そのため俗に言うたんこぶ(頭皮下血腫、腱膜下血腫、骨膜下血腫)を作りやすく、その血腫も大人と違い吸収されにくく後に注射器で吸引しなければならないこともあります。

2.頭蓋骨も大人と違って薄く軟らかく弾力性に富んでいます。そのため外力により全体が歪み、頭蓋骨が変形してダービーハット型の骨折を生じたり、限局性にピンポンボールが凹むような骨折を生じやすいと言われています。
また、頭蓋骨の生長線である頭蓋縫合がゆるく、縫合離開骨折も生じやすく、頭蓋内の重大な症状の発見が遅れることがあります。そして、骨折があっても症状のない症例が多いことも特徴です。

3.硬膜(脳を包む硬い膜)と頭蓋骨の関係も大人とは異なり、硬膜の血管も破れにくく硬膜外血腫を生じにくいと言われています。しかしいったん骨折に伴って硬膜が損傷されると、まれに骨折が広がっていく進行性頭蓋骨骨折を生じることがあります。

4.脳自体もまだ発育途上であり、脳損傷によって代謝障害を生じやすく、小さな脳挫傷と思っていても急に脳が腫れて(脳浮腫)重篤な状態になることもあります。
また、頭蓋内に大きな血腫でも生ずれば、脳の隙間がほとんどないため突然重篤な状態になる一方、日常のありふれた外傷後時間を経て、血腫形成の症状があらわれることもあります。

以上より、小児の頭部外傷に際しては、事故の状況の正確な把握と、事故後約6時間の十分な観察、および異常時には速やかな受診が必要と思われます。