各部門紹介(放射線科からのご紹介)


当院はこの度、1.5テスラMRI装置に替え、最新鋭の3テスラMRI装置を導入致しました。第一世代の3テスラMRI装置は県内ですでに数台稼動していますが、最新の技術を搭載した第二世代の3テスラMRI装置の導入は当院が県内で初となります。

  第一世代の3テスラMRI装置は頭部領域しかうまく撮影出来ませんでしたが、この最新型3テスラMRI装置は頭部領域だけでなく全身を詳細に撮影する事が可能で、診断能力の更なる向上に貢献するものと期待されています。

■MRI検査とは?


磁気を使って体内を検査します。そのためレントゲンと異なり放射線による被曝はありません。
検査可能な部位は頭部、脊椎関節四肢、乳房や心臓など胸部、肝臓・膵臓・胆のう・腎臓など腹部、前立腺や子宮・卵巣・膀胱など骨盤内臓器の全身です。
特に脳動脈瘤や脳梗塞の診断、腰痛や関節痛の原因検索に有用で、また最近増えている乳ガンや前立腺ガンの診断能力も格段に進歩しました。


■1.5テスラの装置とどう違うの?


磁気の強さが2倍になると感度が4倍になります。その結果、今まで1.5テスラの装置では小さくてわかりにくかった病変がより鮮明に描出され、病気の早期発見早期治療に大きく寄与することとなります。
図1・図2は脳血管の検査(造影剤不使用)ですが、3テスラの方がより細い血管まで明瞭に描出され、より小さな脳動脈瘤の早期発見が可能になりました。


  

図1. 1.5テスラ脳の血管        図2. 3テスラ脳の血管

図3は腰椎です。分解能の大幅な向上により小さなヘルニアが神経を圧迫しているのがよく判り、今まで不明瞭だった病変が鮮明になっています。図4は両側乳房の検査、図5は前立腺の検査ですが微小な病変が明瞭に描出されています。場合によっては造影剤を使う事でより確実な診断が可能になる場合もあります。

       

  図3. 腰の画像                 図4.両側同時乳房撮影の画像        図5.前立腺の画像

また、拡散強調画像(ディフュージョン)と呼ばれる特殊な撮影方法を用いる事により診断能力が更に向上します。
この撮影方法は主に発症直後の脳梗塞の診断に広く用いられてきましたが、図5の矢印に示すように近年ガンなど悪性度の高い細胞をも描出する事がわかってきました。
悪性細胞の描出は1.5テスラの装置でも可能ですが、検出能は3テスラの装置の方がはるかに上回ります。
このように、従来よりも高精細な画像が得られるため、他の装置では診断できず3テスラの装置で初めて病変が描出され、より早期の診断・治療につながった例が多数報告されています。



3テスラMRI装置の利点


○ 脳動脈瘤の検出能の向上
○ 高精細撮影による病変の検出能の向上
○ 特殊撮影による脳梗塞やガンの早期発見


患者さんにやさしい検査環境とは?


検査の際の騒音が静かになったため耳栓は必要ありません。
また、今回導入したMR装置は通常のMR装置と比較してより大きな磁石を使用しており、検査の時横になるベッドの幅が広く圧迫感が和らぎ、リラックスして検査を受ける事が可能になりました。

従来と現在の大きさ

以上のように、圧倒的な高画質を快適な検査環境で手に入れられる3テスラMRI装置を、当院ですでに稼動している64列マルチスライスCTやフラットパネル方式血管撮影装置などとうまく連携させ、より早期でより正確な診断とより適切な治療を追求し、「安全・安心で優しく、高水準」の医療を提供してゆく所存です。